ブドゥハ
●海の都ブドゥハ (Vudduha)
大きな湖のある森と、海に面した港街が特徴の国。
・気候
湿気を含む潮風が年中吹く。
雨が降る事は少なく、白サンゴで出来た階段脇の溝に伝わせて貯水池へと水を貯めている。街に階段が多いのは元からあった白サンゴの山を利用したからだが、効率よく水を数カ所に集める為でもある。
・守護竜:蒼竜(ヌシ)
泉を1周するほどの大きさで、
細長い身体にサカナの鱗、背びれ、二本の長い髭を生やした姿。
……と言うのが近隣の人々の認識だが、
実際は人魚のような姿のアージュの方が本当の蒼竜。
・アージュ(湖の人魚)
湖の人魚、とも呼ばれる嘘吐き人魚。
アージュが毎日同じような唄を歌うのはヌシに嘘を教えるため。
ヌシは朝が来ると昨日までの事を忘れてしまう。
→「アージュの唄」の本来の意味は偶然訪れた他の生き物に嘘を教える為。
気の遠くなるような昔、湖の蒼竜は食用に狩られたことがある。
その時から蒼竜は身を守る為に上半身をヒトの姿へと変化させ、ヒトを欺くため嘘を歌いだした。
湖のヌシはアージュたちが作り出す幻とも言われている。
・海の人魚
対抗心が強く、なにかとヒトと争おうとする。
争うと言っても「どちらが多く海産物を獲れるか」とか「早く泳げるか」などなど。
昔から港に住んでいるヒトには友好的。
勝負をした後はどちらが勝っても、戦利品を山分けしてどんちゃん騒ぐ。
基本的に男前な性格の人魚が多い。男も居る。
・生き物
〇サカナ
海で暮らすヒレのある生き物。
イルカのような個体や、小さな海水魚のような個体など様々。
基本的にサカナ態でのサイズは20~30cm程。
稀にヒトよりも大きなサカナが存在するが、滅多にヒト前には出ない。
・街
湿気を吸収する白サンゴで出来た港町。
主にこの街を指して「ブドゥハ」と呼ばれる。
もとからあった白サンゴの山を切り出して、階段や家を造った。
真っ白で飾りっ気がないので、海で取れた貝殻や色サンゴを、四角く開けた窓際に飾ったりする。
個人レベルで干物作りが盛んで、家の屋上には干物用の魚が広げられている。
サール・リトレ(塩海岸《Sal litore》)と呼ばれる海岸に沿って街が広がっている。岩場には多量の塩がこびりついており、流通する塩の多くはこの場所で取れたもの。
・マレ・アウラ(海の庭《Mare aura》)
関所の町。ラフロ領とブドゥハを結ぶ街道の端にある町。
これといって名産がある訳ではないので、ラーフとの貿易が制限されている現在は、少々廃れてしまっている。元々それほど大きな町ではない。
・水晶湖( Crystallus lacus)
ブドゥハの森の中にあるナヴァグラハ最大の湖。
森のアージュが暮らしており、辺りに生えた水晶から溢れる水で出来た湖。水は蒼の大河(Gorm abhainn)を通ってブドゥハの海へと流れている。 湖には蒼竜が棲んでいると噂され、地元のヒトは近づかないようにしている。
湖の人魚の棲みか。
+昔話+
ブドゥハにはサカナと勝負して勝てるくらい泳ぎのうまい女のヒトが居たんだって。
そのヒトは毎日海へ出掛けては、普通のヒトが来れない様な所まで泳いでたんだ。
ある日、彼女は一匹の美しいサカナに出会った。
そのサカナは虹色に輝く鱗とサファイアみたいなキレイな瞳で、女のヒトよりも一回り大きかった。
女のヒトは吃驚して逃げようとしたんだけど、虹色サカナが呼び止めた。
虹色サカナは優雅に泳ぐ女のヒトを見て、好きになっちゃったんだ。
サカナは「私と海で暮らしてくれ」と告白した。
女のヒトは断った。
あくる日もそのまたあくる日も、海で泳ぐ女性に虹色サカナは会いに行った。
とうとう女のヒトは根負けしてしまって、「私がサカナになれたら考えてあげる」って言ったんだ。
女のヒトはサカナじゃないから、海にずっと居る事はできないからね。
虹色サカナは大喜びで、女のヒトをサカナにする術を唱えだした。
サカナは一生懸命、舞い踊りながら唱え続けた。
ところが、術を唱え終わったサカナの目に映ったのは、下半身だけサカナになった女のヒトだった。
女のヒトは海に潜ってずっと見ていたんだけど、術はとっても長かった。
だから途中で息苦しくなって、上半身を海から出してしまったんだ。
こうして海の人魚が生まれたっていうブドゥハの昔話。